「チッ!!やめろっ!!!!」
広い空間に大きな声が響く。
どうにか動いた足で奴を蹴りはらった。
しかしあちこちから100人近い警備員がでてきて俺らをかこんだ。
「…か、彼女を救って下さい。」
蹴られた奴が指示をだした。
「ハイ!」
また別の奴が一人声をだす。
それを合図に気味悪いくらい一律の動きで襲いかかってきた。
ドス!!
奴らからはなたれた拳が腹を直撃した。
「……か……は…」
その隙に彼女はさらわれてしまった。
「…ち…づる………ちづる!!!!!」
痛さをこらえ力をふりしぼって彼女の名をよんだ。
…が、彼女ははじめに蹴られた奴に渡っていた。
「…て…丁重に?お預かりしますから。」
見逃さなかった。今一瞬奴は笑った。
奴と警備員の大勢は同じ歩き方で消えていった。
「…チッ、ちづるー!!」
…彼女をつれて。
俺はへたりこむしかなかった。
な…なんなんだよ、天使ってのは…こんなんなのか…?
一人、この冷たい大理石に囲まれた空間で、彼ら…天使に初めての恐怖を覚えた。