「じゃあ、お父さんは買わせてもらうね。」
「…う、うん。」
そっか、結局私はお父さんを売ったんだ。
最低だな…私。
ぎゅうう…
不安がかった私を彼は優しく抱きしめた。
私の心を透かしたみたいに。
「……ちづるは悪くない。悪いのは君のお父さんやお母さんだよ。」
…本当はこんなことしたらいけないってわかってる。
でも、…もう苦しー…。
もう、堪えられないよ。
今の私には彼に頼ることしかできなかった。
…ー彼の腰に手をまわして強く抱きしめた。
「……ありがとう、ちづる。」
本当に悪魔なのかな、彼は。
優しい人にしかみえないよ。