ちょうど、家に着いたころ。
菜月から、メールが返って来た。



FROM⇒菜月
SUB ⇒なし
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フるなら、早く
してね??
そうじゃないと
あたし・・・
もっと苦しく
なるよ。






は・・・?  何、これ。
マジ、意味わかんねー。
何を思って、お前はこれを送信したわけ?


俺はなつきに電話した。



《はい。》


少しの機械音のあとに、出た菜月。

いつもより、声が低い。


《もしもし?俺。》


《・・・》



黙ってしまった菜月。


そんなことにかまわず、本題に入る。



《あれ、どーいう意味?》
《わかんなかった?》


いやに冷静に返してくる菜月は、いつもと違う。



《ぜんぜん。》

そう返すと、菜月は、少しの間をおいて話し始めた。


《椋ちゃん、上島さんのことが好きなんでしょう?》




は・・・???
なに言ってんの?こいつ。


《いみわかんねーんだけど?》

《そのまんまの意味だよ。 今日も、上島さんに手、ふってたでしょう?》


《いつ?》

《勉強会のとき。あたし、見てたよ?》


あ、もしかして・・・


《あれ、お前にふってたんだけど・・・?》

《・・・嘘は、いいよ?》



今にも泣きそうな菜月の声。



《うそじゃねぇよ。 だいたい、上島って誰だよ?》


まず、俺はそんなヤツ知らねーしな。


《そこまでとぼけるんだ・・・。別にあたし、傷つかないし・・・。本音、言ってくれていいんだよ?》


《・・・。じゃ、まず言うけど、俺は上島なんて知らないし、手をふった覚えもない。  あれは、お前にふってたんだよ。それなのに、手、振り返してくれねーし。》

《何言ってるの? あれは、上島さんに振ってるって、言ってたんだよ?》


は~?


《誰がだよ?》


少なくとも、俺は言ってねえよ?