・・・よしっ! 大丈夫、菜月。大丈夫よ。


すばやく、行動。すばやく。すばやく・・・



ちらっ・・・




あ・・・、あの人って・・・。

1年だっけ?2年だっけ?  どっちかのときに、学年1の美女って言われた子だ・・・。


もしかしてあの子が?  まさか・・・ね。




たしか、名前は・・・



「もしかして、まだすきなの?桜。」


そう、桜!!上島桜!!  って・・・。
やっぱり、そっちなの!?  椋ちゃんLOVEな子はっ!


「え~・・・まあ、ね。」

うそっ!ヤメてよ!?  絶対、あたしに勝ち目なしじゃん!?
えっ、やだやだ・・・。やだよ。




「あ、桜っ!あんたに手、ふってんじゃない!?椋太くんっ!」



えっ!?


バっと、勢いよくグラウンドを見た。


そこには、笑顔でこちらに手を振っている・・・椋ちゃん。





ほんとだ・・・。 上島さんに?  あたしには、気づかないのかな?

あたし・・・、ココにいるよ?




「え~、ちがうよっ!」

「そうだよ、きっと、あんただよ!」

「違うってば; あたしなんか、知らないよ?むこうは。」


少し、悲しそうに上島さんは呟いた。


「知ってるでしょ~! あんだけ騒がれたんだからさ?“美女”って。」





やっぱり、そうなんだ・・・


椋ちゃんを好きなのは、“美女”といわれた女の子、上島桜ちゃんなんだ・・・。







あたしはその日、勉強会には出ずに家に帰った。