「さっ、俺らも帰るか」



立ち上がった椋ちゃん。



「あ、うん……!」



慌ててカバンを持つ。



「………菜月」



いきなり呼ばれた名前。



「へっ?」




って顔を上げたら………




いきなり当たったあったかい感触。




何これ……???



いまいち空気が読めていないあたし。



「……菜月さあ。目ぐらい閉じろよι」



離れたと思ったら目の前にある椋ちゃんの顔。




そんなの、わかってるよー………


わかってるけどね?



ま、いいけど。
って言葉を残して前に進もうとした椋ちゃんの腕を、



なぜか止めていたあたし。




「わかってるよ……」





そして―――……



また、唇に感じたあたたかさ。



でも、さっきとは違う………



今度は、あたしから。