「佳澄と別れて来た」

「…そっか」

「別れるっつー表現もおかしいよな!付き合ってはなかった訳だし」


明るく笑ってみせようとしたけど、顔の筋肉が素直に言うことを聞いてくれない気がした。


「…好きだったんだ」

「ん」

「本当にマジで好きだったんだ」

「、ん」

「俺、ちょっと期待したんだ。このまま付き合えるんじゃないか、って」

「そっか」

「今日さ。アイツ、笑ったんだ」

「…」

「『付き合ってる訳じゃないのにね』って、笑ったんだよ」

「…」

「なんで、俺じゃダメだったんだろうなー…」




無言で差し出されたハンカチが可愛いピンクの花柄で、俺はやっと少し笑えた。



そしてまた、ちょっとだけ泣いた。





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