「似合う」
鏡に突然映る恭介さんの顔。
びっくりして思わず声を上げそうになった。
恭介さんは、とても眠たそうな顔をしている。
でも、これではきはきしゃべるものだから驚いてしまう。
…さっきから、意識しないようにしているけど。
恭介さんといい、梧郎さんといい、とても良い声をしている…と思う。
片目を隠しているのか…もしくは面倒で髪を切っていないのか。
恭介さんは左目を隠すように、髪を分けていた。
「ああ、杏奈…それ似合うね。それにしよう!」
梧郎くんがレジにいって、視力の測定をお願いしている。
「あとは……母さんと一緒に、いろいろ…買いに行くといい」
言おうとしている意味は、わかった。
(下着とか、さすがに一緒にいけないもんね…)
私はそう考えて、視力の測定に行った。