梧郎くんのほかに、車でもう一人が待機していた、
「兄さん、この子、杏奈」
「は、はじめまして…」
運転席に座っていたひとりは、じろりと私を見る。
「…恭介」
それが彼の名前だと理解するのに時間がかかった。
梧郎くんにつられて後部座席へ乗り込む。
「兄さん、まず眼鏡買いに行こう」
「…ん」
恭介さんは、黙って車を発進させた。
まだ、私は目が悪いことを伝えていない。
なのに、何で…。
「杏奈、目を細めて段ボールとにらめっこしてたから」
梧郎くんが私の考えを読んだように言う。
私はなんとなく恥ずかしくて、うつむいてしまった。