声をかけたひとは、にこりと優しく微笑んだ。 「あなたが杏奈さん?」 睫毛が長く、まばたきをすると影が出来る。 釣り目が少しきつく見えるが、太い縁の眼鏡で緩和されている。 美人だなあ、女の子みたい。 「鳴海梧郎といいます」 「あ、杏奈です…」 丁寧なあいさつに、つられて頭を下げる。 見とれてしまった…。 「君の部屋は?」 あ…そうだ、これから家族になるんだ…。 なんだか、くすぐったい。