がちゃ。 玄関の扉が開く音が聞こえた。 「梧郎、そろそろどけよ」 「兄さんこそ、どいてよ」 「うむ、仲良くしろよ」 宏太郎さんは満足そうに笑っている。 あれ、仲良しかな…と私は思う。 さっきからずっと抱きしめられていて暑い。 「たーだいまー!妹はどこだー!」 がっはっは、と笑う声が聞こえ。 「おっ」 勢いよく開け放たれた居間の扉。 にんまりと笑うのは、どうみてもなんだか悪そうな人。