「もっと早く、見つけたかった」
ぎゅう、と強く腕が回される。
「それは…仕方がないから」
「仕方がなくはない」
宏太郎さんが眉間にしわをよせ、悔しそうな顔をした。
「私たちが、もっと早く」
「今、ここにいるだけで幸せですから」
私はぎこちなくしか笑えない。
この家族とは、うまくやっていけるだろうか…。
「梧郎くん、ちょっと…あの…」
「ん?」
「そろそろ…その、恥ずかしいというか…」
「いいじゃない、ふれあい、ふれあい。」
「ずるい」
恭介さんにも挟まれて何がなんだか、さっきまでの雰囲気は…。
「父さんも混ぜなさい」
「あら宏太郎さん…私じゃいけませんか?」
夫婦仲はとってもよろしいようだ。