「ただいま、でいいんだぞ」 おそらく、居間から出てきたんだろう。 一家の主が私を迎えた。 「ん」 恭介さんは、早くとでも言うように背中を叩く。 梧郎くんもじっと見ている。 「た…"ただいま"」 「おかえり、杏奈」 「今日から君は、私たちの家族だ。…遠慮はしないで、何でも言っておくれ」 むずがゆい。 家族って、こうなのかな。 …わからないけど、うれしかった。