車が止まる。 目の前にある家は、いたって普通の一軒家だった。 ごく最近建てられたのか、まだ外壁がきれい。 「杏奈」 恭介さんが私の背中をつつく。 「…はい」 私は、ドアを開いた。 「あら、お父さん…来たみたいですよ」 「何っ…よし、私が出よう」 「あの…なんていえば…」 梧郎くんは荷物持ちをさせられていた。 恭介さんは、じっと家の中を見ている。