「…平井くん?」



「あ、片岡先生。…俺の名前もう覚えてくれたんですか?」



俺はちょっと驚いて言った。



片岡先生はそんなぽかんとした俺の顔を見て、ぷはっ、と吹き出して言った。



「そりゃあ初日からあんな質問攻めにされたら覚えるよ。」



「…あはは、ですよねー。」



「…ところで何調べてるの?」



「あ―…、大学のことです。進路希望の紙、まだ埋まんなくて。」



「平井くんは、まだ行きたい大学決まってないんだ?」



「いや―、決まってるっていえば決まってるんです。でも、先生とかにいろいろ言われてて…」



俺は簡単に事情を説明した。



先生は何も言わずにうんうんとうなずきながら聞いてくれた。