しばらくして、ハルトは静かに言った。



「な、平井…不思議だよな。」



「な…にが…?」



「幸せってさ、それが何度も起これば起こるほど“当たり前”になってくじゃん?でさ、どんどんそのままじゃ幸せだと思えなくなってく。もっと幸せになりたいって思う。でもさ、不幸はそうじゃないんだよな。不幸は何回起こっても“当たり前”じゃねぇんだよな。ちょっと不幸なことが起こるだけで、つれぇし、苦しいし…それが“当たり前”だなんて、思えっこねぇんだよな。」



「そうだよ…思えるわけないじゃんかよ…片岡先生が死ぬのが当たり前だなんて…思えるわけ…っ!」