「…あのさ先生。先生はどうして教師になろうと思ったの?」



「うーん、何ていうのかなぁ…」



先生は少し口ごもった。



「…なぁ平井。教師ってさ、どんな仕事だと思う?」



しばらく間を置いてから、先生は窓の外を眺めてぽつりとつぶやいた。



「生徒に…“教える”仕事ですか?」



「うん、確かにそうだよな。でもさ、俺はそれだけじゃないんじゃないか、って思うんだよ。」



俺のほうを向いてにこっ、と笑う。