「みっちゃん、私達海に行くんでしょ。ここ海じゃない」

まだ繁華街。海には程遠い。

海、海、海。私は海に行きたくてたまらなかった。海には無駄がない。私が住む町には無駄しかないから、たまには無駄のないところへ赴かなければバランスが保てない。自分が無駄だらけの町に取り込まれるのが怖かった。いつだってふわふわしていたい。なんにもこだわらず、頭の悪いふりをして生きてく。それが一番お利口さんなのだ。合理的なのだ。アイデンティティーなのだ。

やっぱ私、頭いい。

「わかばは悪ふざけが過ぎるから怖いんだよ」

みっちゃんは何故か呆れ顔。

私をわかってる?みっちゃん?

あぁ。

だめ。

ぞくぞく。

ぞくぞくぞくぞく。