私は思わず、腕組みしながら怠そうに立つお兄さんの方を見た。

「違う、みっちゃん」

確かにみっちゃんを写した。間違いない。

「俺なんか撮ってなんになんの?」

知らない。みっちゃんを撮る撮らないに関わらず、写真を撮る意味が一切わからない。写真の存在意義とはなにか。私にとって写真は紙屑同然だ。過去には興味がないから。刻一刻と変わりゆく全て。過去になればそれはもう別の何かになっている。

例えば、過去の私は私じゃない。

過去の私は私ではなくて、別の何か。

今あるものしか意味を成さないのに。