汚い電車の中で、容赦なくガリガリくんを喰らうみっちゃん。
しゃくしゃくしゃくしゃく。
電車が線路を走る音とガリガリくんがみっちゃんの歯で削られていく音しかしない。
斜め向かいの扉の前に立つ若いお兄さんが、みっちゃんをちらりと見たあと、携帯を取り出して、みっちゃんに向ける。電子音が鳴ったところをみると、どうやらみっちゃんを携帯のカメラ機能で撮影したみたいだった。お兄さんは事が済むと、さっと携帯をオシャレなパープルのマウンテンパーカのポケットにしまいこんで、素知らぬふりをして窓の外の景色を眺めている。
「みっちゃん。撮られた」
私はお兄さんを指差して、みっちゃんに報告した。
「わかば、今オレが撮られた訳じゃないんだよ。わかばが撮られたんだよ」
しゃくしゃくしゃくしゃく。
電車が線路を走る音とガリガリくんがみっちゃんの歯で削られていく音しかしない。
斜め向かいの扉の前に立つ若いお兄さんが、みっちゃんをちらりと見たあと、携帯を取り出して、みっちゃんに向ける。電子音が鳴ったところをみると、どうやらみっちゃんを携帯のカメラ機能で撮影したみたいだった。お兄さんは事が済むと、さっと携帯をオシャレなパープルのマウンテンパーカのポケットにしまいこんで、素知らぬふりをして窓の外の景色を眺めている。
「みっちゃん。撮られた」
私はお兄さんを指差して、みっちゃんに報告した。
「わかば、今オレが撮られた訳じゃないんだよ。わかばが撮られたんだよ」