「お兄さんこそ変だもん。男のひとりやふたり犯してそうだもん」

「………」

「………」

う…勢いで言っちゃった…

「わかば…」

「…あのさぁ、今もしかして「男」って言った?」

私は頷く。みっちゃんが隣で頭を抱えている。ちょっと面白い。

「それじゃあ、ボクはゲイだと…」

お兄さんが堪えきれずに突然噴き出す。

「だってなんか怖いから。私にしたらよっぽどお兄さんの方がサイコ」

「サイコとゲイは直結しないよわかばちゃん。あ、ボクがサイコ過ぎて女より男を犯してる絵の方が想像しやすいってこと?」

私は頷く。

目が怖すぎて。真っ白なキレイな皮膚に浮かぶ切れ長の細い細い目の中に、小さな小さな黒目。ぞっとしちゃうくらい怖い。

「なんだろうね、あ、前付き合ってた人にもゲイっぽいって言われたか。でもボクは一応女の子としかニャンニャンしたことないからね。男同士ってなんか汚いしね」

「ニャンニャン?」

私とみっちゃんの声がハモった。

「ん?ニャンニャン?」

お兄さんはニャンニャンと言いながら、両手をチョキにして人差し指と中指を2回小刻みにお辞儀させた。