電車がいつの間にかかなり郊外の方まで来ている。寂れたパチンコ店が窓を流れて消えていった。待ち侘びた海まで、あともうちょっと。

今年初めての海。

お兄さんはやっぱり私達と海に行く気なのかな。

「なんかわかばちゃんはボク達凡人には到底理解できないサイコな思想をもってそうだもん。ねぇ、みっちゃん」

お兄さんは時々噴き出しながら、私についてそう語った。

ひどい!何も知らない癖に!

大体、お兄さんこそ真顔になったら男のひとりやふたり犯してそうな顔してる癖に。

真顔とヘラヘラ顔。

ギャップがありすぎるところを見ると、お兄さんこそ相当キチガイだ。そうに決まってる。

少しのギャップであればそれは即座に好感に代わる。だけど、有り余るギャップはただの二面性に外ならない。

「サイコって言葉がこんだけ似合うやつもあんまいないっすよ」

みっちゃん!

ひどい…