「なんで私の名前知ってるんですか」

お兄さんに「わかばちゃん」と言われ、ぞくぞくしたことは内緒。特にみっちゃんには…。

「だって言ってたからさぁ。みっちゃんが。ねぇ、みっちゃん」

お兄さんは図々しくもみっちゃんを「みっちゃん」と言いやがった。みっちゃんのことを「みっちゃん」と呼んでるのはこの世で私しかいないのに。私がみっちゃんって名付けたのに。

「やっぱりこいつ変ですか?」

嬉しそうに急に身を乗り出すみっちゃん。

私は少し、ほんの少し、嫌な予感がして次の瞬間にはいっぱいの素敵な予感に代わっていた。

もしかしたらみっちゃんに新しい友達ができるかもしれない。

みっちゃんは私以外に友達がいないから。

でも嫌な予感がしたのは何故?

「こいつって言わないで。わかばって言って」

私はみっちゃんの頭を思いっきりげんこつでぶん殴った。みっちゃんはぶん殴られることに慣れてるから、何も反応してくれない。私がすべったみたいでちょっと寂しい。