桜の宮駅は、それはそれは汚い。床にはポイ捨てされたゴミが散乱し、ホームから見える景色は薄汚い古びたビルの壁ばかり。雨の日や、曇りの日は灰色一色の桜の宮駅。

だけど、私は大好き。

「わかば、アイスどっち食う?」

みっちゃんは私のことが好きらしい。私は別にみっちゃんのことは好きではない。しかも嫌いでもない。でも、どうでもいい訳じゃない。いないとちょっと寂しい。

「どっちもいらないよ、みっちゃん」

試しに呆れたような笑みを浮かべてみた。

「そっか。どっちもうまいんだけどね」