「入って!」


え…?


唖然としてしまった。

だってさっきの部屋と全然違う。

高価そうなものは何もなくて、いたって普通な部屋だったから。



「俺さ、本当は金持ちで生まれたくなかったんだ」


ガチャと閉まる音とともに聞こえたかすかな声。



「跡を継がなくちゃいけない、父より立派にならなきゃいけない。そういうプレッシャーばっかで」



真島くんは俯きながら自分の椅子に座った。

私はその場に座り、真島くんの話の続きを聞く体制にはいる。



「学校だって本当はつまんねぇ。楽しくない。祐希がうらやましいよ」