「すみません、遅刻しました」


教室に入った時にはもう一時間目の授業が始まっていた。

ようちゃんは何も言わず、まるで私の存在を気付かないかのように授業を進めていた。


私は自分の席に座り、机に顔をうずめた。



もう、やだよ…


―葵!―

―ずっと一緒にいるって言ったじゃない!―


あの頃の記憶が今になって思い出されていく。

私と百合とようちゃんの

あの頃を…―




「おーい。坂田、大丈夫かぁ?」


隣の席の真島くんが小声で話し掛けてきた。


後ろには百合がいる。

私の行動をいつも見張っている。

だから私は…
真島くんと話すことはできない。

ごめん、真島くん
心配してくれてるのに…



私は首を縦に振り、黒板の方を向いた。

ようちゃんは何か変な絵を書いているようだ。

何の絵だろう…?



ようちゃんは絵を描くことが大好きだった。

遊んだ時にいつも絵を描いてくれた。

私と百合とようちゃん…

三人が仲良く写っている絵を…