リビングに行き、冷蔵庫を開ける。


いつも綺麗にそろってる食材。

こんなに食べる人いないのに…

……………



―お母さん…何してるの…?―

―葵!あっち行ってなさい!!―


―葵ちゃん、よろしくね―



「っッ…痛ッ…」

いや…思い出したくない。
あんな光景……

今すぐ忘れるんだ。



「……食べたくなくなったからテレビでも見よ」


ソファに座りテレビの電源をつけた。

丁度ニュースの時間。


アナウンサーの人が重苦しい表情で、原稿の文字を読んでいく。



『キャバクラで女性一人死亡』


「えっ!?」


『昨夜、〇〇という名前の店に刃物を持った男が現れ、女性を殺害し、逃亡しました。女性は病院に運ばれましたが、今朝亡くなりました…』




なんだ…良かった。

私の心はなんだか暖かくなった。


人が一人死んだのにどうして暖かくなるのかは…

きっとあの日から私はおかしくなったんだと思う。