修斗が歩きだした。


「修斗、自転車は?」


「今日は朝、母さんに送ってもらった」


「そっか」


修斗の歩く速度が速くて、隣に並べない。


やっぱり私は、修斗の斜め後ろを歩く。


それに気づいたのか、修斗が少しだけ歩く速度を落としてくれた。


「ありがと」


そう呟いて、隣に並んだ。


「なにが?」


「別に何でもない」


「変なやつ」


指一本で、私の頭を小突く。


「痛いな~」


「ばーか。痛いわけないだろ」