「それから、今鳴ってる17時のチャイムもな」


どこからか、夕方の5時を知らせるチャイムが聞こえた。


「どうして?」


私は修斗を見上げた。


「家帰んないといけないじゃん」


「はっ?」


家って、帰るところでしょ?


「小学校の低学年ってさ、だいたい17時が門限だろ?」


「うん」


「せっかく学校から帰って公園でボール蹴ってんのにさ、空がオレンジ色に染まって、17時のチャイムが鳴ると帰んなきゃいけないんだよな」


「当たり前じゃん。じゃないと怒られるし」


「俺はもっともっと、ボール蹴ってたいのに。友達だって、帰って行くしさ」


「うん」


「最後に残るのは俺と里穂で。でも里穂じゃ相手にならないし」


「ちょっと。何気に今、ひどいこと言わなかった?」