バシッと音がするくらいに、小林君の頭にボールが合った。


うちのキーパーは一歩も動けず。


ボールは綺麗にゴールに収まった。


広がるため息とは別のところでは、大きな歓声が上がる。


前半残り2・3分の出来事だった。


うちのキックオフからまた試合再開。


それでもしばらくすると、前半終了のホイッスルが鳴らされた。


1-1で折り返し。


15分のハーフタイム。


この間に山田先生からの指示が与えられる。


「ぬるい」


試合前に買った温かいお茶は、もうとっくにぬるくなっていた。


私の座っている席の反対側には他の部員が座っていて、今テレビのインタビューを受けている。


その少し上には、今日の為に駆けつけてくれた翼前部長と沙穂先輩の姿。


歴代の先輩たちも、大勢この試合を見に来てくれていた。