「ホント大変だな―、平井はっ。」
「…っ。」
同じテニス部のナルこと成瀬裕也に思いっきし哀れまれて、
「あーもう俺なんでこんな奴らのこと待ってやってんだろ!?普通列車もう来てんだからなっ!そんなこと言うんだったら俺は快適な電車の中でのーんびりしながらお前らのことかわいそーって嘲笑ってやる!」
俺ははっきり言って情けない捨て台詞を残して、快速列車待ち合わせ中の普通列車に飛び込んだ。
「なんだよっ、いいもん俺は別に。つーか俺チャリ通だしっ。」
窓越しに外を見つめていたら、それからすぐに快速列車はやって来た。
車内から笑顔で手を振るナルたちを乗せて、快速列車はあっという間にホームから離れていった。