「……平井ー。マジですごい。負けたー。」 ナルは目の前の光景に大きく息を吸いこんでから、俺のほうを見て言った。 「…引き分けだよ。」 俺は麦畑から目を離さずに答える。 「…何で?」 ナルが不思議そうに尋ねる。 「±0の法則。」 「…何それ。」 「教えねぇ。」 「何だよー。」