「誰もいないよ。なんで?」



とっさにウソをついてしまった。



「いや、別になんとなく」



たぶん、コウスケは今あたしがウソをついた事をわかっている。



あたしはウソをつくのがヘタなのかもしれない。



「そう…」



気まずい空気になりそうな感じだったので、淹れたてのコーヒーをコウスケに差し出した。



コウスケは小さく笑って礼を言った。



ウソを追求しないコウスケの優しさに、罪悪感を感じた。