部屋に戻り、ため息をついた。



いろんなモノを振り払うように髪をくしゃくしゃにしてみたが、なんの効果も得られなかった。



あたしは、カバンから携帯電話を取り出し、コウスケの自宅の番号を入力した。



携帯電話の番号、聞いとけばよかった。



コール音が3回鳴った後、男の人の声が聞こえた。



「もしもし」


「藤嶺と申しますが、コウスケさんはご在宅でしょうか?」


「俺」



電話に出たのはコウスケ本人だった。



機械を通すと、肉声とは違う声なのでわからなかった。



電話の声に、またドキリとした。



「今から迎えに行くから」


「えっと、じゃぁ駅まで出るから」


「わかった」



学校以外の所で会うなんて、ちょっと緊張するな。



なんて思ったすぐ後に、さっきくしゃくしゃにした髪の事を思い出し、慌てて洗面台に向かった。