「そうだよ」



そう言うと、アラタは紅茶を一気に飲み干した。



猫舌ではないようだ。



マグカップをテーブルに置くと、「よいしょ」といいながら立ち上がった。



あんたはおっさんか。



「この後約束あるんだろ?俺、帰るわ」


「あ〜、うん。ごめんね」


「いいよ」



アラタを階段の下まで見送り、オデッセイが見えなくなると、あたしはまたさっきユウリらしき人物を目撃した場所を見た。



あれは…



本当にユウリだっただろうか…



あの鍵穴をユウリがやったなんて信じたくない。



いくら普段罵られっぱなしだといってもユウリの事は嫌いじゃないし、大事な生徒の一人なんだから。



それに、もしあれがユウリだったとしても確かめようがないじゃないか。



しらばっくれられたら終わりだし、もし違ったとしたら自分に疑いがかかる辛さはよく知っている……



さて、どうしたものか。