リビングに戻り、紅茶を差し出すと、アラタはニッコリ笑った。



「何?」



あたしがそう聞くと、アラタはさらに笑った。



真っ白い歯が輝いている。



「だから、何?」


「お前、丸くなったね」


「は?」


「昔のお前ならさ、さっき走っていったやつ絶対追っかけてると思うんだよなぁ。


ガンギレで。


なのに、危ないからって追わせなかっただろ?


だから、変わったなぁって。


女っぽくなったな」



面と向かってそんな事言われたら困るんだけど。



照れるよ。



「そう?」



昔のあたしを知っているのは、今はこの男しかいない。



いつもなら忘れたい過去だけど、この男と過去の話をすると楽しかった思い出ばかり出て来る。



なんでかな…