じゃぁ、やっぱりユウリが?




いや、ユウリはたまたま今日あの場所にいただけかもしれない…



とにかく、何の確証もないんだからユウリが犯人だと決めつけるにはまだ早い。



だけど…



あんな場所にたまたまいるなんて事はあるのだろうか…?



「盗られた物、なかったよ」


「そうか。よかった」



アラタはホッとしたようにため息をついた。



ホントに心配してくれてんだね。



ありがと。



「うん。あ、ちょっと待ってて」



あたしはアラタをリビングに置いて、キッチンに向かった。



お湯が沸くのを待っていると、やっぱりさっきの事を考えてしまう。



ここはユウリの家から近いのかな?



それとも、このマンションに友達が住んでるとか?



でも、あたしに見られた時、逃げたようにしか見えなかった。



逃げるのは何かやましい事があるからだよな…



やかんのピューというけたたましい音で、今お茶を淹れていたところだという事を思い出した。



食器棚からマグカップを2つ取り出し、紅茶を淹れた。