教職員用の駐車場には、アラタの愛車のオデッセイが停まっていた。



アラタが助手席側のドアを開けてくれた。



ジェントルマン。



「どうぞ」


「ありがとう」



ちょっとしたお姫様ごっこをした後に、アラタわドアを閉め、自分も運転席に乗り込んだ。



オデッセイで姫にはなれねぇな。



しばらく走っていると、アラタが話し出した。



「あのいやがらせ、マジで誰がやってんだろうな」


「わかんないから気持ち悪いんだよね。理由もわかんねぇし」


「お前、ホントに心当たりねぇの?」


「ねぇよ。教師になってからはね」


「じゃぁ昔の知り合いがやってるとか」


「それはねぇだろ」



アラタは「んー」とうなり、考え込んでしまった。