な、何か言わなきゃいけないの?


私…


「ごめん…、急で」


は?私に言い訳?


「べ、別に言い訳なんかしなくていいし…」


「でも、ショック…だったんだろ?」


私が?ショック??


「海里って、本当に自惚れてるんだね…
私が海里のキス見てショックを受けたって思うの?」


「…じゃあ、何で逃げるんだよ」


「…見ちゃって…悪かったなって…」


嘘だ…。身体が動かなかったんだ、私は


「まるで、テレビを見てるみたいなキスシーンだったから…」


今こうして海里の顔を見れない自分は、何なんだろう?


「環!顔見て話せよ!」


私を見透かした様な台詞にドキッとしながらも


ここは見ないと…変に疑われる


私は歯を食いしばって、海里の顔を見つめた


「たま…」


「不特定多数の人とキスできるなんて、汚いね。
不潔だ…」


私は海里の手を振り払ってゆっくり歩き出した


私が海里を深く傷つけてしまう言葉を、あえて選んだ事に驚いていた


どうだっていいはずなのに


海里が誰と何してようと、私には関係なくて


関係ないはずで…