競技が終わって陣地に戻ろうと歩いていた時だった


階段下の影で、海里と女の子が話をしているのを見かけた

…またっ!


無視しようとしていたら、何だか言い争いをしているようで出るに出られない…


ここで出て、また女の人から何だかんだ言われるのも嫌だし…


どうしようか迷っていたら、女の人は突然海里の首に腕を巻き付け、海里に


…キス


しかも…


ディープキスの方…


私は思わず固まってしまった


海里は固まってるのか、受け入れてるのか…動かなかった


いや、海里だし…固まるなんて事無いんだろう…


女の人は満足気に腕を離して笑顔になると、黙って立ってる海里に「じゃあね!」と言って振り返った…


「あら?」


そこには運悪く固まって動けない私が居て…


「ごちそうさま」


意地悪そうに笑って、私の横を通りすぎていった


「…た、環」


「あ…」


やっと一歩動けるようになった足を、直ぐに反対方向に動かした


「ま、待てって!」


腕を捕まれて引き止められてしまう