目は異常なまでに充血し、
歯も肉食獣のように
鋭く尖った牙に
なっていた。

男は苦しいのか、
時々、大きな雄叫びを
上げていた。
大通りに軍の警戒が
張られる中、通りかかった
のは1人の女性。
男は集まっていた軍隊に
目を向けていたが、
買い物袋を持った女性を
見るや否や、女性の方に
向かって走り出した。

"あの人は殺される"
周りにいた誰もが
そう思っていた。
しかし、買い物袋を
その場に落とし、
態度が変わったのは
女性の方だった。
男に向かって何やら
話しかけていた。

すると、男は
落ち着いたのか、
ゆっくりと女性に
近付き始めた。