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テーブルに置かれたグラスに麦茶がゆらゆら揺れる。


総さんはテーブルを挟んだ向かいに座った。



「総司って誰?」



総さんは大和さんと私の会話をどこから聞いていたの?


そんな最初のほうからいたなら声をかけてくれたらよかったのに、とは言えなかった。



「……」



なにも覚えていないと言う総さんにタイムスリップのことを話したところで信じてもらえるのだろうか。


でもそこから話さないと私は総さんにわかるように説明することができる自信がない。



「言え」



総さん、苛々してる。


声の感じでそう思った。



「…総司は…沖田総司さん」



この世の中に同姓同名の人はどれだけいるのかな。


親が新選組が好きとかの理由で付けたりするかもしれない。



「沖田って…新選組のか?」



コクコクと頷いて肯定を示すと総さんが大きくため息を零した。



「…全部話せ。これだけじゃ意味わからない」



全部話し終えたあと、総さんは私をどう思うの?


でも拒否をする権利は私にはなかった。



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