『あー、なかなか重かった』

二人が会話していると蓮がリハビリ室に戻ってきた。

『あれ?何だよ敬大立ち上がって…まだリハビリの続きをする気なのか?』

蓮は立ち上がっている敬大に尋ねた。

『えっ?…ああ』

敬大は戸惑いながら答えた。

『そっか、じゃあ楓そろそろ俺たちは帰ろうか?』

蓮はそう言って楓の手をとった。

『えっ、うん…』

楓は蓮に手をとられ立ち上がった。

『敬大、あんまり無理すんなよ。じゃあな』

蓮はそう言って楓の手を握り、楓を連れてリハビリ室を出て行った。

一人残った敬大はそっと壁にもたれた。

『何だろうこの気持ち…胸が苦しくて…切なくて…』

敬大は右手で心臓をおさえた。

いつも一緒だった人が離れていく…そう感じた敬大の胸は張り裂けそうだった。

去って行く大切な人…その瞬間初めて敬大は楓に対する自分の素直な気持ちに気付いた。