「一歩、病気の事黙ってて悪かったね。家出て、私を高校や大学に行かせる為にって、お母さんずっと無理してたから…


倒れてから、私一人ではさすがに治療費払うの厳しくって、ついお父さんに頼んじゃった


お母さん知ったら…怒るだろなぁ


でも、一歩の為に病気の事黙ってるって…それは正しくない選択だったかもしれないね」


万里さんは、悔しそうに顔をしかめるけど、すぐに笑顔になる


そして私を見てこう言った


「鈴ちゃん、ありがとう。もしあの時、私に会いに来てくれなかったら、私は今でもやっぱり一歩に母の気持ちを伝えてあげられなかったと思う」