「だって…普通の中学生は、こんな所出入りできないよ?」


「そーだよな。…まぁそこは父親に感謝。でも、別にそれ以外は贅沢してねーし、家も古いまんまだし」


古いって言っても、あのインテリアはなかなか一般家庭では揃えられない気が…


一歩の部屋を思い出す


あの、海みたいなファブリックパネル。綺麗だったな…


「何考えてんの?」


ぼんやりしてた私の顔を、一歩が覗き込んだ


テーブルに肘を付いて、斜めにした彼の顔にドキッとしてしまう


「あ…えっと、一歩の部屋。また行きたいな」


「マジ?じゃ、来週おいでよ」


一歩の手が私の手に触れる