こんな言葉じゃ足りないのは分かってる…


愛おしいこの人を…救えるだけの器が私にも欲しい…


私は一歩を、抱きしめる腕を緩め、彼の顔を覗き込んだ


「顔…あげて?一歩の顔見せてよ」


「…ごめんな、鈴に変な話しちまった。ここまで話すつもりなかったのにさぁ」


一歩は少し平常心を取り戻したみたいで、ようやく顔を上げてくれた


目尻にうっすらついた涙を拭うと、いつものようにニコッと笑う


「あー、カッコ悪…鈴、ヒいた?」


「何言ってんの?ヒくわけないよ!もっと…もっと、もっと大好きになったよ」