一歩の手は微かに震えている気がした


「でも…ある時学校から帰ったら、母さんがいなかった


テーブルにおやつを置いたまま…そのままずっと帰って来なかったんだ


姉ちゃんだけを連れて、出てった…


オレは…必要とされてなかったんだな…って、思…」


「一歩…もう、いいよ。もういいから…」


ごめん…、一歩が一番見せたくない自分を…私はえぐり出してしまったんだ


そっと、一歩の体を抱きしめた


こんなに…脆い部分があるのを、必死で隠そうとしてたのに…


いつもの強がりは、その裏返しなのかも知れない