これ…海?


細い糸が幾層にも重なり、横に引かれたラインがキレイにグラデーションを作っていて、波のようにも見える


玄関に入った時のイメージと違い、一歩の部屋は何だか不思議な空間だった


そうだ…あまりに整いすぎてて、モデルルームみたいなんだ


生活感がない家…?


そう思った時、一歩が部屋に戻って来た


手にはペットボトル


「お茶でいい?こんなんしかなかった」


「うん、ありがとう。でもそれなら私カバンの中にペットボトル入ってる」


「こっちのが冷たいから」


って言って、一歩は私のほっぺにボトルをピタッとつけた