「give-and-take」

私のおかずを食べてふざける親友を呆れつつ、話を変えた。


「志織と同じ部の赤司君とは話したよ。クラスメート紹介しなきゃいけなくて。」
志織は笑いながらお茶を飲み干した。
「潤ね。うん、いいひとだよ。文系は男子が少ないってぼやいてたなぁ。他に誰がいる?」

箸を加えたまましばし志織を見る。

「野球部の北君とか、ギケ、祇園君とか。」
さっき教室を出るときに見えた2人の名前を言ってみる。

「ギケって?」
「祇園君のニックネーム。ギケンって。」
普段呼びもしない人のニックネームを口にするのは抵抗がある。呼んでみたいとは思うのだが、今のところ呼ぶ機会はなさそうだ

「キタケンとギケンね。」
すんなり言ってしまえる親友に羨ましく思いつつ志織なら呼べるんだろうと思う。この性格だから。
一方、私は男子と笑って話せるほど柔軟ではない。変に意識してしまって自分から話しかけることはあまりない。

「ゆうは意外に人見知りだからなぁ。でも、2人と話せるようになるといいね。」

「いやいや。」
苦笑いしつつ、おかずを口に運ぶ。


「ゆうは顔にでるから。」