すぐに、教室ではあちらこちらで固まって昼食の用意をし始める。

かく言う私も弁当やら歯磨きセットやらが入ったサブバックを持って教室を出ようとすると─

「ゆう、食べよ。」

後ろから美加たちが呼びかけてくれたが、志織と言うと笑顔で手を振ってくれる。
美加は中学校が同じで2年のときから同じクラスなので3年も同じでよかった。
ふわふわの天然パーマに小さな顔に可愛らしい顔立ちや行動は見ていて和む。

美加に笑顔を返して私は階段を挟んだ隣の7組へと向かった。


「あ〜来た来た。ゆう、おはよ〜。」
志織が満面の笑顔で教室の窓から手を振るのが見える。


志織とは1年のときに同じクラスになってからの仲だ。うちの高校は2年からコース別のクラスになるため、理系看護科志望の志織と国立文系志望の私とでは同じクラスになることはなくなったが、相も変わらずつるんでいる。

笑顔にも差があるが、いつも本当に笑顔でいる志織はすごいと思う。

事実、私は志織が泣いているのを2回しか見たことがない。失恋したときとブラスバンドの定期演奏会で感動したとき。

私は泣いてばかりだというのに。
意外に私は涙もろく、テレビドラマや漫画ですぐ涙が出る。