そんなこんなで、ギケンはギケンになった。

「・・・じゃあ、ギケンでよろしく。一年間。」

紹介のあとで、伏し目がちに、はにかんで言ったギケン。

私はそのときはじめてギケンの方を振り向いた。ギケンは教室の廊下側よりの後ろから二番目。私は廊下側の前から二番目。

はじめて見つめた彼の印象は・・・マサムネ。
スピッツのボーカルに似てなと思った。

「・・・茶色い。」

その薄茶色の揺れる髪と綺麗なアーモンド型の瞳が印象に残った。

ふと、目があったような気がして驚いて前に向き直る。

私とギケンははじめて同じクラスになった同士で、話したことは一度もない。


・・・印象、悪かったかな。


ひとり反省するもどうすることもできず、首をすくめた。